居住地の再設計。妻の化学物質過敏症(MCS)を機に「瀬戸内移住」を決意した理由と候補地比較
このまま、この場所で一生過ごしていくのだろうか……?
40歳という節目に立つとき、誰もが一度は抱くこの問い。
私の場合は、妻の「化学物質過敏症(MCS)」の発症が、
その問いを現実的な決断へと変えました。
都会の便利さよりも、妻が「普通に呼吸できる場所」を。
2年後の移住に向けた、40代夫婦のリアルな選定プロセスと、
私たちが「瀬戸内」という土地に希望を見出した理由を共有します。
- 決断の背景: 妻のMCS発症と現在の住環境の限界
- 候補地の選定: 福岡(糸島)から瀬戸内海沿岸(5県)への比較
- 判断の基準: 40代の転職・移住を成功させるための「7つの条件」
この記事の結論
環境を根本から変えるための「県外移住」を決断。2年後の転職を軸に、MCSに配慮した「瀬戸内海沿岸」を最有力候補として、空気・仕事・安全のバランスを徹底比較します。
私が人生の再設計について、以下の3つに分けてまとめていますので共有したいと思います。
目次
なぜ、住み慣れた土地を離れ「県外転居」を目指すのか
きっかけは、妻が化学物質過敏症(MCS)を発症したことでした。
これまで「便利だから」「職場に近いから」と選んできた今の居住地が、
妻にとっては「一刻も早く離れなければならない場所」に変わってしまったのです。
化学物質過敏症(MCS)とは?
化学物質過敏症とは、柔軟剤・芳香剤・整髪料・香水・煙などに含まれている微量な化学物質によって、
頭痛、倦怠感、粘膜の炎症など、全身に多様な症状が引き起こされる病気です。
私たちの別ブログでも詳しく解説しています。
消費者庁・文部科学省・厚生労働省・経済産業省・環境省作成ポスター

今の環境では「妻を守れない」と感じた4つの理由
今の場所での生活を継続することは、
妻にとって日々削られていくようなものでした。
- 空気の質
工場密集地帯特有の空気の重さ。窓枠やベランダがすぐに黒く汚れる環境は、肺にとっても過酷でした。 - マナーの壁
歩きタバコや過度な香料が当たり前の地域性。道路に落ちている吸い殻の多さは、そこにある「配慮の欠如」を物語っています。 - 安全の懸念
いわゆる「オラオラ系」の荒い運転が目立ち、散歩すらもリスクを伴うストレスフルな環境。 - 依存の断絶
唯一のメリットは「職場が近い」ことだけ。しかし、その職場に通うために妻の健康を犠牲にする選択肢は、私にはありませんでした。
化学物質過敏症についての詳細を綴った特化ブログはこちらになります
どこに住むか?私たちが選んだ「瀬戸内海沿岸」と「福岡」の候補地
移住は、理想だけでは語れません。
40代の再就職という「現実」と、空気の清浄さという「条件」を重ね合わせたとき、
浮かび上がってきたのが「瀬戸内海沿岸」というエリアでした。
理想と現実のバランスを探る5県+1エリア
| 候補地 | 大まかな特徴と印象 |
|---|---|
| 兵庫県 | 関西圏へのアクセスが良く、淡路島など自然豊かなエリアとの選択肢が広い |
| 岡山県 | 「晴れの国」。雨が少なく災害も稀。移住支援が手厚い。 |
| 広島県 | 独自の文化と穏やかな海。適度な都市機能もある。 |
| 香川県 | コンパクトで移動ストレスが少ない。災害リスクが極めて低い。 |
| 愛媛県 | 温暖な気候と豊かな自然。生活コストの低さとのんびりした空気感が魅力。 |
| 福岡県 | もし県内で考えるなら糸島市一択。自然と都市の距離感。 |
<なぜ「糸島」という候補があるのに県外へ?>
糸島は自然豊かで素晴らしい場所ですが、近年の人気上昇による地価の高騰と、観光客増に伴う交通量の変化が、MCS対策としては懸念材料になりました。だからこそ、より広域な瀬戸内へと視野を広げたのです。
なぜ「瀬戸内」なのか?私たちがこの土地に惹かれる理由
なぜ、他にも選択肢がある中で瀬戸内海沿岸なのか。
そこにはMCS対策と40代の人生設計において、外せない理由がありました。
1.安定した温暖な気候
気候の安定は、自律神経を整える上で欠かせません。
瀬戸内の穏やかな天気は、体調を崩しやすいMCSの妻にとっても、
そして仕事に打ち込む私にとっても「心の安定剤」になると感じています。
2.圧倒的な「災害リスク」の低さ
40代からの移住は、失敗が許されません。
南海トラフ地震等のリスクも考慮した際、
瀬戸内エリアの「守備力の高さ」は、長期的な安心材料です。
3.MCSへの配慮と風通しの良さ
一部の自治体では香害への啓発活動が進んでおり、
空気が滞留しにくい地形が多いことも決め手でした。
4.福岡県からの「現実的な距離」
現在の居住地(福岡)から車でアクセス可能な距離であること。
これは、引っ越し費用を抑え、移住前の現地確認を何度も行うために、
非常に重要なポイントです。
【保存版】移住先を選ぶための「7つの判断材料」
私たちは現在、各候補地を以下の条件でスコアリングしています。
1.空気のきれいさ
化学物質過敏症において、空気の質は文字通り生命線です。
- 産業の確認:付近に大規模な工場地帯がないか。卓越風を気象データで確認します。
- 交通量と渋滞: 幹線道路の排ガスに注目。地図上の緑の多さだけでなく交通量をチェック。
- 農薬のリスク: 周辺に広大な果樹園や水田がないか。空中散布が行われる地域は、事前に市町村の農政課へ確認が必要です。
2.就職のしやすさ
「空気はいいが仕事がない」では、再設計は破綻します。
- 40代の市場価値: 製造業の管理職や、新しいスキルを活かせる中核企業が通勤圏内にあるか。
- 有効求人倍率の質: 単なる人手不足の業種だけでなく、腰を据えて働ける「地場大手」はあるか。
- リモートワークの可能性: ブログや副業を並行するため、地域の光回線インフラが整っているかも重要です。
転職を確実なものにするための、資格の選定についてまとめています
3.気候と風土
「心地良く暮らせるか」に直結する、重要な項目です。
- 湿度のコントロール: 湿度が高いとカビや雑菌が繁殖しやすく、MCSの症状を悪化させる要因になります。瀬戸内のような「乾燥気味で温暖」な気候は理想的です。
- 日照時間: 40代のメンタルヘルスにおいて、日光は最高のサプリメント。晴天率の高い「晴れの国(岡山など)」は大きな要素です。
- 「よそ者」への距離感: 移住者が多い地域(糸島や瀬戸内の島嶼部)は、新しいコミュニティに入りやすく、精神的な摩耗を防げます。
<なぜ瀬戸内は乾燥気味?>
北の中国山地と南の四国山地が湿った空気を遮断する『雨影(あまかげ)効果』により、瀬戸内は年間を通して湿度が低く保たれます。これはカビや菌を避けたいMCS患者にとって、天然のシェルターのような役割を果たします。
4.災害リスク
40代で手に入れる「終の棲家」が、災害で失われるリスクは最小限に抑えなければなりません。
- 避難所の環境: MCS患者にとって避難所生活は事実上不可能です。車中泊ができるスペースや、風通しの良い高台が近くにあるかを確認します。
- ハザードマップの徹底確認: 津波、土砂崩れ、洪水。特に南海トラフ地震の影響を冷静に予測し、「標高」と「地盤」を選定基準に。
5.行政と支援
- MCSへの理解度: 自治体のHPで「香害」に関する啓発ポスターを掲示しているか、過去に議会で取り上げられたか。
- 移住促進制度: 40代のU・Iターン支援金、住宅改修補助など。使える制度はすべて使い、浮いた資金を「家の空気清浄化」に充てます。
6.周辺環境
地単位ではなく、「人との距離」というミクロな視点です。
- 周辺の空き地: 現在は空き地でも、将来的に除草剤が撒かれたり、化学物質を出す施設が建つリスクはないか。
- 住宅の密集度: 隣家の柔軟剤の香りが、自分の家の吸気口から入らない距離か。
- 周辺住人のマナー:歩きタバコやゴミのポイ捨てはないか。
7.地名や歴史
その土地の名が、名付けられた理由にも目を向けます。
- 土地の履歴: 以前が工場跡地や不法投棄の歴史がないか。土壌汚染のリスクを可能な限り調べます。
- 古い地名のチェック: 「水」「湿」「沼」「蛇」などの漢字が含まれる地名は、古くから地盤が緩かったり、湿気が溜まりやすい場所である暗示です。
<古い地名をチェックする理由>
例えば『渋谷』のように『谷』が付く地名は湿気が溜まりやすく、『水』が付く地名は水害が多かった可能性があります。古地図と照らし合わせることで、ハザードマップだけでは見えない『土地の性格』を読み解いています。
まとめ|移住は「逃げ」ではなく、未来を創るための「攻め」
2年という準備期間は一見長く見えますが、
やるべきことを考えれば決して長くはありません。
土地を選び、仕事を選び、住まいを選ぶ。
そのすべてのプロセスが、私たちの人生を「Design(再設計)」していく過程そのものです。
今の場所から「逃げる」のではありません。
妻の笑顔を取り戻し、40代からの新しい生き方を「掴み取る」ための攻めの転居です。
今日も一歩、理想の土地へと近づいていきます。

